人工呼吸器
人工呼吸器は、体内のガス交換を補助し呼吸にかかる負担を軽減することで、自宅や医療機関における呼吸をサポートします。

在宅人工呼吸療法とは
生物は、生命を維持するために不可欠な酸素を取り入れ、不要な二酸化炭素を体外に排出しています。一見単純に思える「呼吸」ですが、実際には血液中の酸素や二酸化炭素の濃度を一定に保つよう、精密に調節されています。たとえば、身体活動に応じて酸素の取り込み量が増えるなど、状況に応じた変化にも対応しています。
しかし、呼吸する力が低下すると(肺胞低換気)、酸素が不足するだけでなく、二酸化炭素を十分に排出できず、体内に蓄積してしまいます。このような状態になると、在宅酸素療法による酸素補給だけでは不十分であり、過剰な二酸化炭素を排出する必要が生じます。
そこで在宅人工呼吸療法では、専用の機器を用いて呼吸を補助し、体内に溜まった二酸化炭素を排出するとともに、効率的な酸素の取り込みを促します。

在宅人工呼吸療法の種類(NPPVとTPPV)
在宅人工呼吸療法には、大きく分けて以下の2つの方法があります。
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非侵襲的陽圧換気(NPPV:Non-invasive Positive Pressure Ventilation)
マスクを使用して行う方法です。 -
気管切開下陽圧換気(TPPV:Tracheostomy Positive Pressure Ventilation)
気管切開を行い、チューブを通して呼吸を補助する方法です。
どちらの方法を選ぶか、また導入の目安となる二酸化炭素(CO₂)の基準値は、基礎疾患の種類や重症度によって異なるため、医師との十分な相談が必要です。また、CO₂濃度が平常より高くなり、増悪による入院を繰り返すような場合も、在宅人工呼吸療法の導入を検討するタイミングとなります。
対象となる主な疾患は、1位 COPD(慢性閉塞性肺疾患)、2位 肺結核後遺症、3位 神経筋疾患となっています。


保険点数について
NPPV
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月額自己負担額:27,840円(健康保険3割負担の場合)
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通常は月に1回の外来受診または往診が必要
TPPV
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月額自己負担額:30,840円(健康保険3割負担の場合)
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通常は月に1回の外来受診または往診が必要
受診時には、以下のような情報を医師が確認します。
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呼吸状態や全身状態
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マスクや切開チューブのフィット状態

よくあるご質問
ホースの中に水がたまる(結露が多い)場合はどうしたら良いですか
加湿チャンバーの中を通った空気は温められ多くの水分を含んでいます。ホース内を通る間に冷やされ水分を保てなくなると結露が発生します。部屋の温度調整や機器の設定変更である程度の改善は可能です。
マスク周りから風が漏れる場合はどうしたら良いですか
多少の漏れは問題ありません。機器側で漏れた空気分も計算し補正(リーク補正)をかけております。
マスクをつけている箇所が痛い場合はどうしたら良いですか
風が漏れないように強く装着すると逆効果です。バンドを緩めることで解決するケースが多いです。