CPAP
CPAPとは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な治療法の一つで、睡眠中の無呼吸やいびきを軽減し質の高い眠りをサポートします。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群とは、英語で Sleep Apnea Syndrome と呼ばれ、その略称から「SAS(サス)」と呼ばれる疾患です。主な特徴として、睡眠中の呼吸停止、低呼吸、いびきなどが挙げられます。
この疾患により、日中の強い眠気や集中力の低下が見られるほか、脳梗塞、糖尿病、心不全、不整脈、肥満など、さまざまな健康リスクが高まる可能性があります。
SASの原因は多岐にわたり、肥満やアデノイド(咽頭扁桃の肥大)、遺伝的要因などが知られています。しかし、近年の研究の進展により、「太っているから」「高齢だから」といった単純な理由だけではなく、年齢や体型に関係なく、誰にでも起こりうる疾患であることが明らかになってきています。

睡眠時無呼吸症候群の検査について
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度を評価するために用いられる代表的な指標が、無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)です。これは「睡眠中に1時間あたり何回の無呼吸または低呼吸が起こったか」を示す数値であり、SASの診断および治療方針を決定するうえで重要な指標です。
また、呼吸障害指数(RDI:Respiratory Disturbance Index)という別の指標が使用されることもありますが、RDIには無呼吸や低呼吸に加えて、その他の呼吸異常も含まれるため、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA:Obstructive Sleep Apnea)の重症度評価には適さない場合があります。
通常、主治医は患者様の訴えや症状をもとにSASの可能性を疑い、簡易検査を提案します。ただし、AHIがCPAP療法を開始する基準に達していない場合には、患者様と相談の上でさらに精密検査を行います。

簡易検査 について
保険診療を利用する場合、まず簡易検査を必ず実施する必要があります。医療機関から弊社へご依頼を頂き、患者様のご自宅に簡易検査キットを送付いたします。患者様はご自身でキットを装着して検査を行い、その後、郵送でキットを弊社に返送して頂きます。
簡易検査で使用される主なセンサー:
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鼻カニューラ:呼吸の流れ(フロー)を測定
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指先のSpO₂センサー:血中酸素飽和度を測定
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胸部ベルト:呼吸時の胸の動きを測定
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本体装置(胸部前面に装着):睡眠中の体位を測定
これらのデータを元にAHIを算出し、必要に応じて精密検査(PSG検査)へと進むことがあります。

精密検査(PSG:Polysomnography)について
保険診療を利用する場合、精密検査を行う前に必ず簡易検査を実施する必要があります。精密検査では、簡易検査と同様の流れでデータを収集します。
精密検査で使用される主なセンサー:
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鼻カニューラ:呼吸フローを測定
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指先のSpO₂センサー:血中酸素飽和度を測定
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胸部・腹部ベルト:呼吸時の胸および腹の動きを測定
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ヘッドバンド(頭部):脳波、眼球運動、頭の動き、いびきを測定
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顎部センサー:顎の筋電位(頤筋電)を測定
これらのデータを解析することで、より正確なAHIを導き出し、詳細な診断と治療方針の決定に役立てます。

選べる2つの検査システム
当社では、お客様のニーズに合わせて選べる2種類の検査システムをご用意しています。「より正確な結果を重視する方」「とにかく早く結果を知りたい方」など、それぞれの目的に最適なシステムをお選びいただけます(使用機器は共に簡易検査:PMP-300E、PSG検査:スリーププロファイラーPSG2)。
大同商会検査システム・・より正確な結果を重視
・専門のME(臨床工学技士)が全てをチェック
・快適な郵送システム
フィリップス検査システム・・とにかく早い結果を重視
・大量の機器在庫
・スピード重視の自動解析システム

大同商会検査システム
専門のME(臨床工学技士)が全てをチェック
一般的な睡眠検査では、PCによる自動解析が主流です。しかし、当社のシステムでは、提携病院のME(臨床工学技士)が一つ一つ丁寧にデータを確認しています。
そのため、自動解析よりも精度の高い結果を得ることができます。正確な解析結果は、多くのケースで自動解析よりもAHIは高い数値を示す傾向があるため、自動解析に比べるとCPAP導入に繋がりやすいという特徴もあります。
快適な郵送システム
検査キットの配送・返送には、時間指定が可能なクロネコヤマトを使用しています。2時間ごとに受け取り時間の指定ができ、返送もコンビニから簡単に行うことができます。患者様の手間と負担を最小限に抑える仕組みです。

SASのCPAP治療について
CPAP(シーパップ)療法は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な治療法の一つであり、もっとも広く使用されている対症療法です。睡眠中に呼吸が止まる、あるいは浅くなることで生じる無呼吸や低呼吸の症状に対して、高い効果が確認されています。
治療では、鼻または鼻と口を覆う専用のマスクを装着し、CPAP装置(持続陽圧呼吸療法装置)から適切な圧力の空気を気道に送り込みます。これにより、睡眠中に舌や軟口蓋などが喉の奥に落ち込み、気道が塞がってしまうのを防ぎます。気道が常に開いた状態に保たれることで、無呼吸やいびきの発生を抑え、呼吸がスムーズに行われるようになります。

保険点数について
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月額自己負担額:3,930円(健康保険3割負担の場合)
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通常は月に1回の外来受診が必要
受診時には、以下のような情報を医師が確認します。
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CPAP装置の使用時間や頻度
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AHIの残存(治療中でも無呼吸が出ていないか)
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マスクのフィット状態や空気漏れ(リーク)
弊社のCPAPは通信機能を通じて管理しているため、Webからアクセスすることで、院内でも最新の情報を確認することが可能です。

取り扱い主要機種(一例)
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Nea(Sefam)
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S.Box(Sefam)
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DreamStation(Philips)
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AirSense(ResMed)
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SleepStyle(F&P)
CPAP機器はメーカーによって、睡眠時イベントの検出アルゴリズムが異なります。また、マスクの形状にもメーカーごとに大きな違いがあります。弊社では、さまざまなCPAP機器を取り扱っており、患者様の症状や生活スタイルに最適な機種のご提案が可能です。さらに、導入後のサポートや複数機種の一括管理、相談窓口の一本化にも対応しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

よくあるご質問
睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか
睡眠時無呼吸にはいくつかのタイプが存在しますが、最も一般的なタイプは閉塞性睡眠時無呼吸です。これは、舌や軟口蓋など、喉の軟組織を支える筋肉が一時的に弛緩することで発生します。これらの筋肉が弛緩すると、気道が狭くなるか閉じられ、呼吸が一時的に停止します。 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の最も顕著な兆候はいびきですが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人全員がいびきをかくわけではありません。いびきが大きく、一晩眠った後でも疲れを感じている場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。その場合は、心臓の問題やその他の合併症を避けるためにも治療が必要となります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は誰でも発症する可能性がありますが、最も一般的には高齢者が罹患します。また、特に高度肥満の人によく見られることが知られています。
睡眠時無呼吸症候群にはどういった症状がありますか
睡眠時無呼吸症候群はさまざまな影響を及ぼします。症状は、睡眠中のいびきなど一般的なものから、運転中の居眠りなど極端なものまであります。以下の症状のいずれかが発生した場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
・運転中に居眠りしてしまう
・日中の過度の眠気(過眠症)
・大きないびき
・睡眠中の呼吸停止のエピソードが観察された
・息切れを伴う突然の目覚め
・目が覚めると口の渇きや喉の痛みがある
・朝の頭痛
・夜間の頻尿
・眠り続けるのが難しい(不眠症)
睡眠時無呼吸症候群はどのように治療するのでしょうか
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の軽度の場合、まずは減量や禁煙などのライフスタイルの変更を勧める場合があります。これらの対策で兆候や症状が改善しない場合、または無呼吸が中等度から重度の場合は、他の治療法が選択肢になります。 CPAP療法は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の最も一般的な治療法であり、睡眠中に閉塞した気道を開くのを補助するように設計されています。その他の方法として、歯科装置または外科手術が選択肢となる場合もあります。
CPAPの機種によって違いはあるのでしょうか
CPAPのメーカーによって、睡眠時イベントの検出アルゴリズムが異なります。例えば、あるCPAPメーカーの機種は低呼吸イベントの検出に強みを持っており、別のCPAPメーカーの機種は重症無呼吸の改善に強みを持っています。そのため、弊社では患者様の無呼吸イベントや特徴に合わせてCPAP機器を選定する「個別化治療」に力を入れています。