
医療ガス
こちらでは、医療用ガスを記載しております。
医療施設で使用される下記以外のガスは、広範に医療ガスと呼ばれます。

酸素(O2)
【使用用途】
酸素吸引 等
【供給方法】
CE、LGC、シリンダー(7㎥、1.4㎥、0.5m3、0.3m3、0.2m3)
【特徴】
無色、無味、無臭のガスで、大気中に約20.9%含まれます。酸素自体は支燃性ガスのため燃焼はしないものの、酸素濃度・分圧が高まるにつれて燃焼速度の増加、発火温度の低下、火炎温度の上昇をもたらし、爆発の危険性が増大します。また、高濃度の酸素を長時間吸入すると酸素中毒に陥る可能性があります。そのため、酸素は不足の場合はもちろん、過剰の場合も注意を要します。

窒素(N2)
【使用用途】
酸化防止、イボ治療 等
【供給方法】
CE、LGC、デュワー瓶
【特徴】
無色、無味、無臭のガスで、大気中に約78%と最も多く含まれています。極めて不活性なガスではあるものの、高温・高圧では化学的に活発になることが知られています。また、語源であるStickstoff(窒息するもの)が示す通り、閉塞空間にて大量に充満すると酸素欠乏により窒息死に繋がる危険があります。窒素デュワー瓶内窒素の自然気化による酸欠死も現に日本で発生しており、安全な作業手順に基づいた管理が必要です。

炭酸ガス(CO2)
【使用用途】
腹腔鏡下外科手術 等
【供給方法】
シリンダー(2.2㎏)
【特徴】
空気中には凡そ350ppm程度存在するものの、空気中の存在量は非常に少ないため、主に石油精製所のオフガス(副産ガス)として製造されます。近年は石油精製所の統廃合が進んでいるため、市場への供給量が徐々に減少しているガスの一つです。炭酸ガス自体に毒性はないものの、密閉された部屋などで大量に漏えいすると、空気中の酸素を追い出し酸素欠乏症に陥るリスクがあります。

亜酸化窒素(N2O)
【使用用途】
麻酔薬 等
【供給方法】
シリンダー(30㎏、7.5kg、2.5kg)
【特徴】
18世紀に麻酔作用が確認されて以来、現在も引き続き麻酔薬として使用されています。少量の場合、顔面筋肉に軽い痙攣を引き起こして笑うような顔になるため、笑気ガスとも呼ばれます。通常は全身麻酔用として使用され、麻酔薬としては導入も覚醒も早いものの、麻酔作用は弱いという特徴を持っています。化学的な特性としては強い支燃性を持っており、水素やアンモニアとの混合は爆発に繋がる危険性があるため注意が必要です。

滅菌ガス(C2H4O)
【使用用途】
滅菌、消毒 等
【供給方法】
シリンダー(30㎏、10kg、5kg)
【特徴】
エチレンオキサイド(EOG)の別名であり、通常は滅菌・消毒の用途で使用されます。EOG自体は可燃性のガスで爆発性も高いため、通常は二酸化炭素と混合して使用します。二酸化炭素濃度90%(EOG10%)で使用した場合は不燃性ですが、80%(EOG20%)で使用した場合は可燃性となるので注意が必要です。労働安全衛生法では、滅菌に用いるこのガスを”特定科学物質障害予防規則 特定第2類物質”に指定しているため、作業施設、管理者、作業方法に関して規制に準じた使用が必要です。
