医療用酸素について
・ガスの供給形態
コールド・エバポレータ(CE)
コールド・エバポレーターは通常、“CE”または”タンク”と呼ばれます。ローリー車により液化状態での大量輸送を行い、蒸発器を通して使用します。医療用酸素の使用方法としては最も法規制が厳しく、医療機関にて資格の取得も必要となります。しかし、CE内に液化酸素を一定期間溜め置くことが可能なため、受発注頻度を減らせるという特徴があります。弊社では、遠隔監視装置を設置することで、受発注の効率化を行なっております。
可搬式超低温容器(LGC)
可搬式超低温容器は通常、“LGC”と呼ばれます。トラックによる配送を行い、小型の蒸発器を通して使用するマニホールド方式の酸素供給方法です。LGC自体の構造は概ねCEと同様ですが、CEよりも法規制が緩く、トラック配送のため細い道でも配送が可能という特徴があります。LGCにも遠隔監視装置は市場に流通していますが、LGCの構造上精度が大変低いため、弊社では医療施設へ毎日お伺いして日次点検・受発注の代行を行なっております。
大型ボンベ、小型ボンベ
大型ボンベによるマニホールド方式と、小型ボンベによるバラ瓶方式があります。大型ボンベは病床のある院内配管で使用し、小型ボンベは患者さまが院内を動き回る際や、クリニックの緊急用で使用します。弊社では、大型ボンベ(7m3)と小型ボンベ(1.5㎥、1.4㎥、0.5m3、0.3m3、0.2m3)に関して幅広いサイズをラインナップしております。通常は丈夫な鉄素材ですが、サイズによっては軽量なアルミニウム素材・FRP容器も供給可能です。
・院内の安全教育
平成29年(2017年)9月6日発出の新通知により、“医療ガスに係る安全管理のための職員研修指針”が新たに明記されました。本通知により、年に1回程度定期的に医療ガスに関する研修会を院内にて行うことが求められています。
対象となる医療機関
・医療ガスに関するマニフォールド等の供給設備を有している医療施設
・麻酔器・人工呼吸器等を設置して医療ガスを使用した診療を行う医療施設
弊社では、CE、LGC、大型ボンベを供給させて頂いている医療施設様向けに、研修会開催の代行を行なっております。具体的には、”事故、ヒヤリ・ハット事例”、”ボンベ使用時の留意点”など、医療施設様のご希望をお伺いした上で内容に則した研修会を開催しております。
・保険請求の方法
ガスの容量は通常、“m3”で表記し、“リューべ”と読みます。しかし、医療用酸素の保険請求では“L”が用いられているため、単位の換算が必要です。換算時には1m3 = 1,000Lとし、容器に記載のm3に対して1,000を掛けることで保険請求時のLへ換算することが出来ます。
保険請求時には、上記換算量に対して、酸素単価と補正率(1.3)を掛けることで請求額を算出することが出来ます(酸素の価格 = 酸素単価(円)× 当該患者に使用した酸素の容積(L) × 補正率(1.3))。その際、納入単価が薬価のケース、または、薬価よりも高いケースでは、酸素単価に薬価を使用します。一方で、納入単価が薬価よりも低いケースでは、実際の納入単価を使用します。
また、医療機関は酸素を購入すると、前年の1月から12月の間に購入した酸素の対価及び酸素の容積を当該年の2月半ばまでに地方厚生局長に届け出る必要があります。用紙は下記URLより取得可能です。弊社にて記入のフォローも行なっておりますので、ご不明点がございましたらお気軽にご相談下さい。
・よくあるご質問
◉医療用酸素ガスの酸素濃度はどのくらいですか
医療用酸素ガスは薬機法の日本薬局方に含まれており、酸素濃度は99.5%以上と定められています。一方で、医療用液化酸素は日本薬局方の対象ではないため濃度の定めはありません。液化酸素はほぼ純酸素のため、蒸発器を通して気化させるとおおよそ99.999%程度になります。
◉購入した医療用酸素ガスに消費期限はありますか
種類に限らず、ガスは一般的に充填より1年以内での使用が推奨されています。理由は、濃度が徐々に低下してしまうことと、容器の破裂リスクが高まるためです。そのため、日本産業医療ガス協会の医療ガス容器保安対策指針では、安全確保のために医療ガス容器の納⼊後1年以内の返却について協⼒を要請することと規定されています。この規定は法令ではないため拘束力はないものの、事故が発生した後に遵守していないことが発覚した場合は刑事上の責任を問われる可能性があるソフトローとして規定されています。